子どもにも起こる「睡眠障害」

睡眠障害」とは、眠りに何らかの問題がある状態を指します。

子どもの「睡眠障害」というと大げさでは、と思うかもしれませんが、子どもの心身の育ちにとって睡眠はとても重要です。

また、子育て中の方にとって、子どもの睡眠は大きな悩みのひとつといえます。

子どもがぐっすり寝てくれないと、付き合ってお世話をするお母さんやお父さんも寝不足になり、体力的にも精神的にもつらいですね。

夜泣きしたり騒いでしまったりすると、近所迷惑になっていないかというストレスを感じることもあるでしょう。

うまく眠れない日が続くと、何かの病気ではないか、発育に影響はないのか、不安になったりするのではないでしょうか。

睡眠障害の症状

「眠れない」不眠症をイメージする人が多いのですが、眠りすぎやいびきなども含め、眠りの質と量にまつわるさまざまな問題を広く含みます。

子どもに見られる症状の目安として、以下のうち、当てはまる項目が多い場合、睡眠障害ではないかを疑ったほうがいいかもしれません。

  • 夜間睡眠中に何度も目を覚ます
  • よく泣いてしまう
  • 強くいびきをかく
  • 頭痛や腹痛が多い
  • 1日中ねむけを訴える
  • 不機嫌でイライラしている
  • 土曜・日曜日・休日はお昼まで寝ている
  • 保育園や幼稚園に行きたがらない
  • 朝起きて学校に行くまでにぐずぐずと時間がかかる
  • 朝起きることができず学校にも行けなくなった

子どもの睡眠のリズム

子どもは、乳児期から3歳くらいまでの間に睡眠リズムを確立します。

赤ちゃんの眠りはまだ未成熟で浅い眠りなので、大人と違って夜泣きをすることも多いのです。

ですが、3歳以降になっても睡眠に何らかの問題がある場合、改善の必要があるといえます。

子どもの睡眠のメカニズムは、脳の成長につれ変わっていきます

生まれてすぐの頃は短い周期で昼夜の区別なく眠りと覚醒を繰り返します。

生後16週ごろまでには昼間に長めに起きて夜に集中して眠る、約24時間の生体リズムが形成されます。

その後、午前中の昼寝、午後のお昼寝の順に必要がなくなり、5~7歳くらいまでに夜間にまとまって寝るようになります。

睡眠量だけでなく、睡眠の質も年齢や成長にともない変化します。

人間の睡眠は、

  • レム睡眠=浅い眠りで身体は眠っているが、脳が活発な状態
  • ノンレム睡眠=脳も身体が休んでいる深い眠りの状態

このの2つに分けられますが、生後間もなくはレム睡眠に似た浅い動睡眠が睡眠全体の約半分を占めます。

3ヶ月ごろにレム睡眠とノンレム睡眠があらわれるようになり、2~3歳までにはノンレム睡眠とレム睡眠を90分ほどの周期で繰り返す、大人とほぼ同じ睡眠リズムができてきます。

そのために睡眠のシステムが形成される時期に良質な睡眠をとることは、一生の生活リズムを左右する大きな意味を持つと言われています。

そして、成長につれ、「メラトニン」というホルモンの分泌量も増えてきます。

メラトニンは夜間分泌されるホルモンで、覚醒と睡眠を切り替えて眠りをうながしますが、日中に光をたくさんあびることで分泌されるので、早寝早起きの生活リズムを続けることでより分泌量が増え、より眠れるようにもなります。

乳児期はこれらの睡眠のシステムが形成される途中であるため、睡眠が浅かったり、細切れになりますが、3歳以降になってもこのシステムがうまくできていない場合、対策を考えたほうがよいかもしれません。

細胞組織の生成と新陳代謝を促す「成長ホルモン」は、身長を伸ばしたり、筋肉をつくったりするのに欠かせません。

また、脳の発達や記憶などにも関係するホルモンです。この成長ホルモンは、睡眠中、特に入眠後最初に訪れるノンレム睡眠中に多く分泌されると言われています。

つまり睡眠中に成長ホルモンが分泌されることで、身体の組織や脳が構築され発達するのです。

このように、子どもにとって睡眠は日中の疲労を回復するだけではありません

乳幼児から思春期の睡眠は、心身が大きく成長する時期に必要なホルモンが分泌される、発達に欠かせないもっとも大切な時間といえるでしょう。

 

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