年齢を重ねることによって、「睡眠」に障害が引き起こされる例は良く見られます。
「年を取ってから眠れなくなった」という話を耳にしたことがある方は多いでしょう。
年齢と睡眠状態には深い関係性があるのです。
「不眠症」は何百万人から、特に60歳以上の人たちから、体力回復に必要な睡眠を奪っていきます。
そして、原因は多数あり、年を取るにつれて不眠症の人の数も深刻さも増していきます。
しかし、定期的な検診などでは「不眠症」は見過ごされ、それにより高齢者の生活の質が下がっていき、身体的疾患や認知障害などの精神的疾患を引き起こしたり、悪化させたりもします。
10~20歳代ではスムーズに眠りにつくことができますが、30代では睡眠が浅くなり、40代になると睡眠への満足度が低くなります。
また、50代以上では不眠症と診断されるケースが多くなり、特に深夜に目が覚めてしまう症状が多く見られます。
他の不眠症に比べて、入眠困難の発症率は各年代で差がないと言われています。
ですが、そのように言われている入眠困難でさえも、年齢が上がるにつれて発症率が高くなる傾向です。
その上、年齢を重ねるにつれて、浅い眠りである「ノンレム睡眠」の時間が多くなっていくので、睡眠の質自体が低下していきます。
「成長ホルモン」と睡眠
睡眠している時間は、血液や肌、体中の細胞が再生される大切な時間です。
人間は寝ている間に「成長ホルモン」を分泌します。
成長ホルモンは通称「若返りホルモン」と呼ばれるほど、エイジングケアには欠かせない、ホルモンです。
成長ホルモンの主な働きとして、
- 骨・筋肉を成長させる
- 体脂肪を少なくする
- 免疫力を高める
- 皮膚細胞を増殖させる
の4つが主に挙げられます。
実際に睡眠中は「副交感神経」が優位になり、肌の血流量も増加します。
この血液に乗って、栄養素や成長ホルモンが細胞の隅々まで届けられ、新しい肌への生まれ変わりを促します。
その成長ホルモンですが、深い睡眠の時ほど分泌の量が多くなると言われています。
しかし、年齢とともに熟睡時間は減ってしまい、体の修復活動が十分に行われなくなる傾向があります。
きちんと補修されない状況で翌日を迎え、それが少しずつ毎日積み重なることで大きなツケとなり、年齢トラブルや慢性的な疲労といった問題を引き起こしてしまうのです。
眠りの質を高めてあげることは、成長ホルモンの分泌を助け、心身ともに健康が増進するだけでなく、美容とアンチエイジングにも役立ちます。
加齢による「不眠」の身体への影響
もともと人間の睡眠の深さには波があって、浅くなるタイミングでは目が覚めやすいのですく、これは誰でも言えることです。
しかし、加齢の影響で深い眠りがとれなくなると、ますます睡眠中に目を覚ます確率が高くなります。その結果、引き起こされるのが「早朝覚醒」です。
では、朝早くに目が覚める原因が「眠りが浅くなったこと」だとすると、再入眠できなくなる原因は何なのでしょうか。
たんに睡眠が浅いだけであれば、仮に起きてしまっても再び眠りにつくのは難しくないはずです。
その答えは「体内時計の周期」にあります。
体内時計は「夜眠って朝起きる」という睡眠リズムを制御しています。
その周期は24時間10分ほどの人が多いとされています。しかし、年齢増加にともなって、実は体内時計の周期は短くなります。
体内時計の周期が24時間よりも短くなれば、朝早い時刻に自然と目が覚めるようになっても不思議ではありません。
また、「起きる時間だと身体が判断しているわけですから、再入眠するのも困難になります。
なぜ加齢によって眠れなくなるのか?
生まれたばかりの赤ちゃんは、とてもよく眠ります。
そして、成人のように何時間も続けて起きていることはありません。昼夜を問わず、短い時間で睡眠と覚醒をくり返すので、夜中に起こされるお母さんは大変です。
しかし1歳を過ぎるころになると、昼間に1、2回の昼寝はしますが、夜にはきちんとまとまって眠るようになります。そして幼児期、体が大きくなるに従って徐々に昼寝の時間が短くなっていきます。
小学校に通う頃になると昼寝の必要は少なくなり、その分夜にまとめて10時間くらいの睡眠をとるのが通常です。
成人では朝6時か7時ごろ起き、夜は23時~0時ごろ眠る、7時間~7時間30分ほどの睡眠が平均的です。
そして高齢になってくると夜は早い時刻から眠くなり、朝は早くに目が覚めるように、眠りの傾向に変化が起こります。
また夜の睡眠が浅くなる一方で、日中に眠気を感じることが増えてきます。総じて睡眠と覚醒のメリハリがあいまいになってくるのです。
このように、睡眠のパターンや睡眠時間は年齢とともに変化していき、それとともに睡眠の質も変わっていきます。
高齢者の中には、「若いころと同じような睡眠が得られない」といって悩む人が見られますが、年齢とともに眠りが変わってくることは不思議なことではありません。
自分の年齢や体調に合わせた睡眠のとり方を理解しながら、眠りと向き合うことが大切です。
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