そもそも脳脊髄液とは?
頭蓋骨の内部や背骨の内側には、生きていく上で最も大切な「脳」と「脊髄」があります。
その「脳」と「脊髄」とそれらを包み込む膜の間には、脳内で血液をろ過して作られる無色透明な液体である「脳脊髄液」という体液で満たされています。
「脳脊髄液」は1分間に6回から12回のリズムで生成や吸収を繰り返し、このリズムに合わせて頭蓋骨も動いています。非常に小さな動きのため、自分自身ではその動きを感じ取ることはできませんが、「脳脊髄液」を流し代謝を正常に行うためのとても大切な働きです。
「脳脊髄液」の一番大きな役割は「脳」と「脊髄」を保護することです。また「脳」と「脊髄」の周りを循環することで老廃物を排泄する役割も持っています。
静脈から「脳脊髄液」が作られ、脊髄硬膜に沿って流れ、最後にはまた静脈に戻ります。この「脳脊髄液」の循環を促しているのが、「頭蓋骨」なのです。
頭蓋骨は一つの骨ではなく、いくつもの骨が組み合わさって出来ていて、その一つ一つが微妙に連動して動くことでポンプのような作用をし、「脳脊髄液」を循環させていると言われています。
血液は心臓がポンプ役になっておりますが、「脳脊髄液」は頭蓋骨がポンプ役になっているということです。
脳脊髄液の流れが悪くなるとどうなるのか?
「脳脊髄液」の通り道は非常に狭いため、頭蓋骨や仙骨にズレが生じたり、頭蓋骨の動きが止まると「脳脊髄液」の流れが滞ったりします。
頭部に「脳脊髄液」が溜まると脳が圧迫され、「頭痛」が発生しやすくなります。
さらにそれが悪化すると、「水頭症」を引き起こし、「嘔吐」や「視力低下」などの症状が現れます。
また、「自律神経」の働きにも悪影響を与えます。この「自律神経」が乱れると、
- 頭痛
- 不眠
- 動悸
- 息切
- 低体温
- しびれ
といった不定愁訴や自律神経失調症の症状が現れます。
「脳脊髄液」が正常に流れなくなると治癒力や免疫力が下がったり、老廃物が蓄積することによりあらゆる機能が低下してしまうことがあります。
さらに「脳脊髄液」の流れが悪くなると「脳神経細胞」にも障害が現れ、耳鳴りやホルモンバランスの悪化などが起こることもあります。
このように、「脳脊髄液」は生きていく上で非常に重要な役割を担っています。「脳脊髄液」の正常な流れを維持し、脳のリズムを整え、脳が深呼吸できる状態を保つことは健康を維持する上でとても重要なのです。
めまいとの関係は?
「めまい」と聞いて、「脳脊髄液」と思い浮かぶ一般の方はまずいないでしょう。
おそらく、「脳脊髄液」という言葉さえ今までに聞いたことがない方も多いと思います。それでも最近は「脳脊髄液減少症」という病気が見つかり、少しずつ認知されるようになってきました。
そもそも、頭蓋骨の動きが悪くなると、「脳脊髄液」の循環が悪くなり「脳脊髄液」の圧力が高くなります。これを「頭蓋内圧の上昇」と言いますが、頭蓋内圧が上昇すると、脳脊髄液はどこかに移動しようと思い、軟らかい部分を膨らまそうとします。
しかし当然ですが、「脳脊髄液」の周りは堅い頭蓋骨ばかりですので膨らむことは出来ません。そのため、どこかに「脳脊髄液」を逃がして、圧力を下げようとします。
すると、蝸牛小管と前庭水管という管から「脳脊髄液」が流れ出ます。
蝸牛小管と前庭水管の先には、音や平衡感覚をコントロールしている内耳があります。
こうして「脳脊髄液」が内耳の中に入り込み、内耳の中のリンパ液と混ざり、今度は内耳のリンパの圧力が上昇してしまうのです。内耳には、リンパの流れなどで体の動きを察知している神経があり、リンパ液の圧力が高くなることによりその神経が誤作動を起こしてしまいます。
これにより「めまい」になります。近くには音を感知する神経もありますので、「めまい」と同時に「耳鳴り」を併発することもあります。こうして、「脳脊髄液」の循環不足により「めまい」が発生するのです。
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