まず、大人と子どもの身体の違いは、「子どもの骨は成長する」ということです。
軟骨は成長するにつれて骨に変化し、高校生になる頃にはほぼ大人の骨になります。
関節を作る側だけはスムーズな動きができるように軟骨が骨の上をおおうように残っています。
野球の「投球動作」により、筋肉やじん帯が伸び縮みを繰り返します。
大人になると骨が強くなるので筋肉や靭帯自体が傷むことが多いのですが、子どもの場合は軟骨による結びつきが弱いために、じん帯などに骨がひっぱられて成長する軟骨やその付着部での障害をうけることが多くなります。
そして、軟骨や骨の小片が、関節内に遊離して動きまわるものを「関節遊離体」あるいは「関節ネズミ」といいます。
このようなことがおこる原因としては、
- 離断性骨軟骨炎(りだんせいこつなんこつえん)
関節軟骨の下にある骨の組織が栄養障害によって壊死(えし)し、軟骨とともにはがれ落ちる状態で、成長期の子どもや20歳代の青年によくおこります。
以前は、局所の循環障害が原因と考えられていましたが、最近では、くり返す関節への小さな外力が主な原因とされています。
少年野球のピッチャーの肘の関節などのように、まだ発育途中の関節を酷使するスポーツ障害として、代表的なものです。
- 骨軟骨腫症(こつなんこつしゅしょう)
関節包(関節をおおっている袋)の内側にある滑膜組織に、悪性ではない腫瘍性の変化がおこり、軟骨や骨組織に変化し、これが関節内に遊離するものです。
ふつう、軟骨中に骨の成分も含んだ遊離体がたくさんみられます。
しかし軟骨だけのこともあり、この場合は軟骨腫症と呼ばれます。
- 変形性肘関節症
肘関節を構成している軟骨が、老化や磨耗あるいは使いすぎなどによって変性してしまう疾患です。
肘関節を形成している骨の先端は関節軟骨に覆われていて、衝撃を緩和するクッションの役目を果たしています。
しかし、その関節軟骨が肘の酷使によりすり減ると、痛みを伴い、骨が変性し「骨棘」ができるなどの症状が出てしまいます。
股関節・膝関節などの体重がかかる関節に比べて、肩関節・肘関節・手関節など体重がかからない関節は、この変形性関節症の発生頻度は低いと一般に考えられています。
しかし肘関節は、野球などの投球動作や重い物を運んだりする時に、大きな力が加わります。
このため、変形性肘関節症は、肩関節や手関節に比べて、その発症頻度は比較的高くなってしまうのです。
どのような症状か?
関節の痛みと動きの制限が、主な症状です。
遊離した小片は、関節内のくぼみに落ち込んだり、ひっかかったりして、関節の正常な動きを妨げます。
関節を動かすときに、痛みやひっかかりを感じ、関節が伸ばせない、曲げられないなどの症状がみられます。
遊離体が関節内をネズミのように動き回るのを感じることもあり、ときに関節の表面に移動してきた遊離体を外から触れることもあります。
関節ネズミは、関節のすきまから骨のカケラが逃げれば痛みがなくなるので、治ったと思い、治療を放置する方もいるようです。
しかし、実際は骨のカケラが残っている状態なのに変わりはありません。
取り除かない限りは、いつ再発してもおかしくない状況です。
また、放置し、再発を繰り返すと、徐々に関節が変形してくるなど、合併症が生じる場合もあります。
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