気候と「片頭痛」

天気に体調が左右されるという声は多く、中でも低気圧になると頭痛がするといった経験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は天候と「片頭痛」についてお話したいと思います。

気圧に5~10hPa(ヘクトパスカル)の変動があると頭痛が誘発される

「片頭痛」は気象病と呼ばれることもあるぐらい、梅雨前線、低気圧、台風など天気や気圧と関連することが知られています。

特に雨が降る前に低気圧が来ると、「片頭痛」になるという方が多数います

「片頭痛」と天候の変動(気圧の変化や温度変化、湿度変化)は、「片頭痛」を誘発する因子としてよく知られています。

最近の論文では、「片頭痛」と気圧の変化についての報告がなされています。

その報告では、平年の平均気圧を1013 hPaとすると、5~10hPaの変動があると、頭痛が誘発される割合が最も多くなるというものでした。

ただし、気圧に敏感な人は、それ以下の変化でも頭痛が誘発されるようです。

また温度変化では、前日からの気温差が大きいと「片頭痛」を起こしやすいという報告や、湿度が上昇すると発症しやすい報告などがあります。

このように気圧の急激な変化によって頭痛が起こると考えると、飛行機に乗る時にも、頭痛が誘発される可能性がありますし、高い山に登る時(高山病=2000m以上の山に短時間に登った時に、頭痛、嘔吐、めまいなどの症状を伴う病気)にも頭痛が起こる可能性がありますから、頭痛持ちの人は注意が必要です。

天候が身体に与える影響

①脳血管が膨張する

低気圧の時は、標高の高い山の上にいる時の状態に近づきます。

周りの気圧の方が低くなることで全身の血管が緩み頭蓋骨内の血管も膨張し、近くにある三叉神経(さんさしんけい)を刺激してしまい、血管の脈に合わせてドクンドクンと痛みが出てしまうのです。

 

②交感神経(自律神経)が乱れる

気圧と自律神経は関わりがあります。

自律神経とは興奮と緊張の時に働く「交感神経」と、弛緩とリラックスの時に働く「副交感神経」からなっており、このバランスが崩れると心身に影響を与えています。

血圧循環が悪くなると副交感神経が優位に働き、だるさや頭痛などが現れます

 

③急激な温度変化

気圧だけでなく、気温の変化も自律神経に影響を及ぼすことがわかっています。

台風や雨などで天気が乱れ気温が急激に上下すると、体がその環境の変化についていけずに不調を表すことがあるのです。

 

④空気中の酸素濃度が低くなる

高気圧の時は雲が少なく、下降気流なため地表近くの酸素量が増えます。

反対に上昇気流の低気圧になると、地表近くでは酸素がやや薄く少なくなっている状態になります。

すると自律神経の乱れにつながり、脳に十分な酸素が取り込めないため頭痛やめまいなどが起こりやすくなります。

気候による頭痛の対処法

気象をコントロールすることはできませんが、上手に付き合っていく方法を知ることはできるはずです。

症状を緩和させるために自分でできる対策には、このようなものがあります。

 

  • 身体は温め、頭は冷やす

「片頭痛」が現れている時は、膨張してしまった脳の血管を収縮させるために頭を冷やすと効果的です。

冷却ジェルや氷をビニール袋に入れたものをタオルに包んで、首筋や脇の下、こめかみ、首と頭の境目などの太い血管が通っている箇所を冷やします。

体を温めて血行を良くしてしまうマッサージや入浴は逆効果になるので、避けましょう。

  • カフェインで交感神経を刺激する

カフェインには血管を収縮させる作用があるため、血管の広がりによる「片頭痛」に効果的となります。

コーヒーや紅茶、日本茶などに含まれています。

特に初期に飲むと痛みが軽減されますが、毎日飲みすぎると逆に頭痛を誘発する可能性もあるので注意しましょう。

 

  • 外部からの刺激をシャットアウト

「片頭痛」があるときは、なるべく静かなところで休むようにしましょう。

また「片頭痛」の時は音・光・においなどに非常に敏感になっており、これらは症状を悪化させることになります。

暗い場所で音やにおいをシャットアウトし、なるべく動かず安静にするようにしましょう。

普段の生活でできる予防

  • 自律神経を整えるようにしましょう

低気圧による頭痛は自律神経と深く関わっています。そのため、日頃から生活習慣を見直して自律神経を整えておくことが予防になります。

・①早寝早起き

・②生活のリズムを整える

・③適度な運動を習慣づける

・④3回決まった時間に栄養バランスの整った食事をとる

・⑤アルコール摂取や喫煙を控える

・⑥できるだけストレスを溜めない

 

こういった日々のことに、できそうなことから気を配ってみましょう。

 

  • 予兆を知って心構え

「もうすぐ頭痛が起きそうだな」という予兆がわかれば、突然痛みと戦うよりも心の準備ができます。

頭痛には精神的なことも影響するので、慌てずに対応するためにも自分の頭痛予兆の症状を知っておきましょう。毎日体調を記録していくとパターンがわかってきますよ。

 

予兆が現れやすい偏頭痛の代表的な症状としては、

 

・①目の前にチカチカした光が見える

・②首の筋肉の張り

・③生あくびが出る

・④耳が詰まっているように感じる

 

などが挙げられます

  • 普段から栄養ドリンクや薬を乱用しない

つらい痛みを和らげてくれる鎮痛薬ですが、毎日のように飲んでいては次第に効きにくくなってしまいます。栄養ドリンク剤も同様で、体が慣れてしまうのです。

それどころか、薬の乱用によってさらにひどい頭痛やそのほかの症状が現れることも。薬やドリンク剤に頼りすぎるのは危険です。

夏場の方が「片頭痛」が多い?

「日本の季節」という指標で見ると、5~10月に「片頭痛」の頻度が多く、特に9月が多いという調査があります。

実際、6月は梅雨の季節で低気圧が居座る季節で、9月は台風の多い季節です。6月と9月を比べると、台風による気圧変動のほうが大きいので、9月のほうが多いようです。

一方、冬では、2月に最も「片頭痛」が多く、最低気温や冷たい風の強い季節と「片頭痛」の関係が考えられます。

また、1日24時間の間でも、朝4~8時に頭痛が最も頻発することが報告されています。これも1日の中で朝が最も温度が下がることと関連しているのかもしれません。

最後に、環境と頭痛という視点では、「大気汚染と頭痛」との関係も知られています。これは二酸化硫黄やPM2.5の大気濃度が上昇すると頭痛が誘発されるということです。

日本の気候や大気汚染の状況と単純に比べることは難しいですが、実際、PM2.5の量によって頭痛を誘発される人います。

これら大気汚染も頭痛を誘発する因子の一つと考えられます。

今回、述べた「天候」「気温」「大気汚染」などの誘発因子で「片頭痛」の方は、自分の頭痛についての記録を詳細に記入することで、自分の頭痛を分析できるようになります。

例えば、「明日は低気圧が来るので、頭痛を起こしたら困るので、明日は外出を控えよう」などの対策が可能になってきます。

どのような天気や環境の時に、自分は頭痛を起こしやすいのかを日記などに記録することで、自分のライフスタイルを調節できるようになってくると思います。

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とも鍼灸治療院